ノロウイルスの検出方法
ノロウイルスに感染した場合、どのように検査されるのかご存知でしょうか?
この記事では、ノロウイルスの検出方法を生物学の知識がなくても分かるように噛み砕いて説明します。書くにあたり、厚生労働省がまとめているノロウイルスの検出法を参考にしました。
以下、その手順です。
- 感染者の糞便を採取する
- 糞便から遺伝情報を抽出する
- ノロウイルスの遺伝情報を増やす
- ノロウイルスの遺伝情報が存在するかどうかを調べる
1. 感染者の糞便を採取する
ノロウイルスは人の腸の中で大量に増殖します。そのため、症状が続いている間(完治した後も 2~3 週間は便に残るそうです)、糞便にノロウイルスが多く含まれます。
ノロウイルスの存在を調べるために、その糞便をサンプルとして採取します。
2. 糞便から遺伝情報を抽出する
糞便には、多くの遺伝情報が含まれています。
例えば、糞便に含まれている食べ物、人間の体内の細胞、腸に住んでいる微生物の遺伝情報などです。これに加えて、ノロウイルスに感染している場合は、ノロウイルスの遺伝情報も含まれています。
そのようにデータのたくさん詰まった糞便を扱いやすいように、遺伝情報を抽出する処理を行います。
3. ノロウイルスの遺伝情報を増やす
以上の処理で糞便から遺伝情報を抽出できました。
もちろん、この状態では、たくさんの種類の遺伝情報が混ざっています。そこにノロウイルスの遺伝情報があったら、ノロウイルスに感染していることがわかります。
ただ、そのたくさんの遺伝情報から、ノロウイルスの遺伝情報だけを目立たせる必要があります。そこでノロウイルスだけの遺伝情報を増やす処理を行います。この処理は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)と呼ばれます。
その処理では、過去の研究で分かっているノロウイルスの遺伝情報(遺伝子の配列)を利用します。詳しい説明は省きますが、ノロウイルスだけに含まれている特徴的な遺伝情報を利用し、ノロウイルスだけの遺伝情報を指数関数的に増やします。
4. ノロウイルスの遺伝情報が存在するかどうかを調べる
以上の処理で、ノロウイルスの遺伝情報がたくさん含まれている(であろう)サンプルができました。
遺伝情報(DNA)は、電気的にマイナスの性質を持っています。また、増えたノロウイルスの遺伝情報は、ある一定の長さを持っています。このふたつの性質を利用して、電気泳動と呼ばれる遺伝情報の分離処理を行います。
この処理を行うことで人間の目で、ノロウイルスの遺伝情報の有無を観察できるようになります。Google の画像検索で見られるように、黒い背景に白いバンドとして観察できます。バンドが表示されていれば、ノロウイルスが存在していると判定されます。
おわりに
他にも検査方法はありますが、今回説明した方法で実際にノロウイルスの有無を検査しているようです。だいたい一日で検査できるみたいですね。
ノロウイルスに関する詳しい情報は、厚生労働省の資料が詳しいです。