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「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」を読んだ

サイズの異なる動物間であっても、共通のルール(心臓の鼓動回数、体重当たりの総エネルギー使用量など)があることを説いた本である。1992年に出版され、69版されているベストセラーだ。何かの小説の中で引用されていたのをきっかけに読んだ。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

僕は、以下の2章が特に面白く読めた。どちらも生物という優れた省エネルギーのためのデザインを垣間見ることが出来る。

  • 第12章 甲虫 ー 小サイズの達人
  • 第14章 棘皮動物 ー ちょっとだけ動く動物

甲虫 ー 小サイズの達人

甲虫に属する虫では、カブトムシがいちばん有名だろう。甲虫は、地球上で観察されている100万種の動物の内、70%を占めている。地球は、甲虫に支配されているようなものだ。この事実は、甲虫が他の動物と比べて、極めて優れたデザインを持っていることを証明している。

甲虫は、身体の表面を殻で覆っている。この殻はクチクラと呼ばれ、乾燥に強く、硬くて丈夫であり軽い。また、その丈夫な素材は足や薄い羽にもなり、その強度を変えることで関節としても利用できる。このように、クチクラは、一人何役にもなる優れた素材だ。

ただ、常に鎧を着ているようなものであり、身体を大きくする際には一度脱ぐ(脱皮する)必要がある。当然、脱皮している時は、鎧を脱いでいるので文字通りに無防備である。ただ、それを差し引いたとしても優れたデザインであり、地球上で成功を収めている。

棘皮動物 ー ちょっとだけ動く動物

棘皮動物(きょくひどうぶつ)に属するウニは、刺々しい体をした海藻を食べる生物である。この刺々は、捕食者から食べられないために役立っている。ただ、常に、ぴんと棘を張るのには、エネルギーが必要だ。人間で例えれば、両手を合わせて頭の上で組んでいる状態をずっと維持しているようなものだからだ。ウニが棘を支持する上で使用しているのは、キャッチ結合組織という組織だ。

この結合組織は、短時間の間に硬さの変わる組織。一度、硬さを変えてしまえば、それを維持するのにエネルギーを必要としない。先程の人間で例えれば、皮膚が硬くなって筋肉は必要としていない状態と言える。

同じ棘皮動物のナマコやヒトデ、ウミユリなどもキャッチ結合組織を採用している。これらの生物は身体の一部を切り離して、捕食者から逃げる行動が頻繁に見られる。簡単に身体の一部を切り離す時、その部分のキャッチ結合組織はウニの例とは逆に、ゆるゆるになっている。同じ部品を使っていても、色々なことに使えるんだなと考えさせられる。