筋肉と日焼けで冬季うつ病を打倒できない
暦上では春である。冬のあいだは、気分があまり優れないから、好きではない。こういうとき、神様が「うーん、めんどいから気象条件同じでいいや」と手抜きしたような、フィリピンの温暖な気候が羨ましい。向こうでは同じ 12 月でも、気持ちが落ち込むことはなかったから、感情は存分に気象の影響を受けるものなのだろう(参考:4 ヶ月間フィリピンに言語留学をしてきた)。
それを裏付けるように、日照時間などの関係で、冬はうつ気味になる人が多い傾向にあることを、ジムの張り紙で知った。「冬季うつ病」と言うらしい。だからタンニングしましょう、という宣伝文も忘れずに書いてある(さぞかし、フィンランド人は極夜の間、鬱々としているのだろう。サウナが命綱だろう)。
そう、小生、この 1 年、ジムに通っているのである。筋肉で体重が 5kg ほど増え、胸板が目に見えて厚くなり(A カップはあるだろう)、重たいものが持ち上がるようになった。もやしから細マッチョにクラスが上がったのだった。5kg というと、おーいお茶の 2 リットルペットボトルが 2.5 本分である。ほんとうにすごい。
そんな小生、張り紙に踊らされ、人生で初めて漫画喫茶でタンニングをしたのだった。しかも、4 回もである。福岡市内の漫画喫茶には、何故かタンニング施設が併設されている。いろんな地域の漫画喫茶に行ったことがあるが、タンニングがあるのは福岡市だけだった。パーリィーピーポー率や、発砲事件の数と正の相関はないはずだ。
漫画喫茶だとナイトパック 6 時間 + タンニング追加料金 + 割引チケット合わせて、たしか 1080 円。月一回の暇潰しとして、漫画を読んでコーラを飲んで、人口の太陽光線を浴び冬季うつ病を打倒し、黒い身体は陰影を操り仮想筋肉が映え、シャワーは汗ばんだ身体を冷やし扇風機の前に裸で立ち、男性トイレのえっちな張り紙を前に小便をするのだった。
しかし、筋肉があろうが、身体が黒くなろうが、だるいものはだるかった。もはや逃れられない宿命として、冬がある。冬になる度に、WHITE ALBUM2 を思い出し、かずさルートに嗚咽し、寒さに歯の根が合わない。四季折々はポジティブなイメージを想起させるが、四季がほぼない四季無々(なしなし)であるフィリピン気候のほうが、小生にあっている気がする。
どうして、赤道近くにいた人類は、寒い地域を開拓してしまったのか。先祖をなじる。いくら服を製作できるとはいえ、冬に適応した遺伝子の改良は間に合っていない。寒い地域のひとのほうが、頭が冴えるから、世界の発展に貢献したみたいな、白人と黒人を分ける考えかたがあるそうだが、小生の冬の間の生産力と創造性は低い(か、もう過ぎた日々を回顧するだけの存在であるか)。
嗚呼、なにかがどうにかして(具体的には保有している仮想通貨が Moon して)、一生分の銭を稼ぎ、働く必要がなくなったら、暖かい地域を巡りながら、暮らしたい。そういう他力本願な夢と、今日はどんな夢が見れるだろうという期待とともに、眠りにつく日々である。