この 6 年間、個人アプリ開発者が App Store に対して感じたこと
開発者は自分のアプリに付くレビューに返信することはできない。そのためユーザーが間違った使い方をしてレビューに書いても、開発者は手を差し伸べることはできない。またその情報が他のユーザーに広がることを考えるとはらはらする。その状況は、教室で女の子たちが自分に対する評価を話していて、透明人間の自分はそれを聞き続けている状態に近い。こちらに否がある内容にも「ごめんなさい間違えました」と一言さえ言えないのは心苦しいものがある。
Apple は、次にリリースする iOS 10.3 でレビューの返信機能をようやく導入するようだけれど、アプリ開発者はそれを何年待ち続けたのだろうか。自分は iOS 4.3 の時に、アプリ開発者を初めたから、計算すると 6 年になる。
その間に iOS アプリに対するアフィリエイトの仕組みが変わり、報酬が減った。それにより個人ブロガーがアプリレビューを書くインセンティブがなくなった。それまではブロガーが応援したいアプリを記事に書くことによって、それに見合った報酬を受け取ることが出来ていたのだけれど、今はもうない。その結果、ストア上のレビューよりも価値のある記事が読めなくなった(ストアのレビューは検索性に劣る欠点もある)。今ではアプリレビューを書いているブロガーは絶滅寸前であり、自分の観察範囲ではみんな大変そうだ。
アフィリエイト費で売上を立てていたレビューサイトは、営業力が十分にあれば、アプリ開発会社からお金を頂いて記事を書くことにシフトし、その対価としてアプリを褒めるという作業になった。そして、もうそのレビューサイトですらも影響力を発揮できなくなり、軒並み閉鎖している。
そういう背景があるのか、App Store 上では、個人開発者のアプリを見ることが減った。ブロガーが応援するインセンティブがなくなり、ストアは大企業が札束で殴り合う世界になり、リリースすれば返信できないレビューを受ける。会社だと責任のようなものを分散できるが、個人だとダイレクトに責任を感じてしまって憂鬱になる。
そんな中、今週、2 年半放置していた自分のアプリをアップデートした。iOS の進化により、今まで動いていたものが動かなくなるというのは多々あり、今回はそれを修正した。修正の必要な箇所は何年も前から認識していたのだけれど、どうしても腰が上がらなかった。上記の理由が複合的に絡み合い、さらにアップデートは無償で行い続けなければならないのに、作業に見合う見返りがあるのだろうかと少し悩んだ。
アップデート後は「2 年半も放置するなんて!ぶっ殺してやる!」という類のレビューで荒れるかと思ったが、予想に反して開発者のやる気を取り戻すような素晴らしいレビューで溢れていた。記念にスクショを貼っておく。
結局、この記事で何を言いたいのかまとめられないが、自分の場合、褒めて褒めて甘やかして頂けるとモチベーションが少しでも維持できそうだということだ。にんげんだもの。マイペースに続けますのでよろしくお願いします。