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小倉のストリップ劇場に行った

ストリップ劇場

新幹線の駅がある小倉の街には、九州唯一のストリップ劇場がある。改正風俗営業法により新しいストリップ劇場を建てることが難しいため、基本的には衰退していく文化のようだ。

小倉に住んでいたときは、通学路の横道にそれがあり、とても気になっていた。大人の自由研究として、行ってみた次第である。

ストリップ劇場の公演内容

ストリップ劇場は、以下のプログラムを 13:00 の開演から終電近くまで 4 回繰り返すようだ。大人 6,000 円。早朝割引がある模様。

  • ダンス x 4 回(自分の時は 2 人でチームを組んでの公演が一回含まれていた。通常は 5 回?)
    • ストリップショー 20 分
    • ポラロイドカメラ撮影 5 分
    • オープンショー 5 分
  • アトラクションコーナー
    • 観客参加型のコーナー(自分の時は野球拳)
    • 福祉のチャリティー募金

今の映画館みたいに入れ替え制ではないため(といっても体験したことはないが)、一日中居座ろうと思えば居れる。また、劇場と待機室(踊り場)の間には、遮光カーテンが張られており、途中入場もフリー。だから、チケットを買えばすぐに入場して見れるスタイルだ。女性客もいて、男性だけの助平な空間ではない(ことをここに強調しておく)。

ストリップショーは、各ダンサーさんの個性を織り交ぜつつも、基本的には脱衣していく(なにせストリップショーなので!)。老人に配慮された大音量の BGM が鳴り響く中、年老いた空調が吐き出す空気を扇風機がかきまわすのも虚しく、高い運動量をこなすダンサーさんは汗をかいていくわけである。これが他では味わえない魅力を生む。

一糸まとわぬ背中が見せるカーブ。筋肉が万里の長城のように背骨を力強く支え、指向性のある照明が汗の一粒ひとつぶを現す。汗ばんだうなじから始まる、背中、お尻、女性器までの眺め。筋肉質の太もも、盛り上がるふくらはぎ、意識のかよった足の指先。体勢によって強調されたり、形を変える胸のふくらみ。赤の照明で浮かび上がる、蔦のように体を這う青い血管。女性器の個性からは、生物多様性を連想させるーーー。

舞台から客席のほうに伸びた花道は、ぽっこりと円形に膨らんでおり、そこが中華料理店のテーブルのように回転する。ショーの後半では、扇情的なポーズで静止するダンサーさんが、無機的なフィギュアのようになり、テーブルが周り始める。前半の動と、後半の静。目の前で生々しい彫刻を見ているような気分になる。

ストリップショーが終わったあとは、1 枚 1,000 円のポラロイドカメラ撮影が始まる。「○ 字開脚で」「バックで」などの注文に笑顔でダンサーさんが応えていく。握手会に行ったことがないけれど、そこで発生するコミュニケーションはそれに近いものだろうなと思った。裸だけど。

その後のオープンショーは、まあ、文字通りオープンなショーである。全裸のダンサーさんが、女性器を強調したポーズで愛想を振りまく。うわてにダンサーさんがはけると、次のダンサーさんのストリップショーがすぐに始まる。このようなショーが 4, 5 回?繰り返される。

感想

古い映画の知識のストリップショーは、もっと露骨なものだったように記憶しているけれど、現在のそれは裸の女性の美しさを目の前で味わうダンスショーだと感じた。歌舞伎であれバレエであれ、一般的な舞台だと演者さんは遠くにいて、距離で抜け落ちる情報量があるけれど、ストリップショーは半径 1m の出来事である。解像度がまるで違う。

自分の新しい感覚というか、学びとして、普段生活していると人を区別する時、顔の違いをいちばん意識するけれど、ストリップ劇場の空間では、胸の形や、脚の筋肉の付き具合で判断するようになる。あれはなんなんだろう。犬や猫が、お互いのお尻を嗅ぎあって識別するのに似ている気がする。思いがけずなかなか面白い体験が出来ました。