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Summer Pockets の感想にかえて。あの夏にポケットへ詰め込んだ記憶が眩しくて

中学生の国語の授業だったと思う。「なぜ勉強するのか」という問いを投げられ、たまたま先生と視線があってしまったぼくは「夏休みが来るから」と咄嗟に答えた。他の人は無難な―その証拠にまったく思い出せない―回答をしていたと思う。まわりとの回答の差に恥ずかしさを覚えてしまったせいで、この歳まで覚えている。

夏の空を見上げるとき、そのフレーズがよぎることがあって、そのたびに何回聞かれてもそう答えると思う。今となっては、勉強をすることによって世界の見えかたや意味付けがまるっと変わるだとか、人生においてなかなか飽きのこない知識欲を鍛えるいい経験だとか、勉強したことを忘れたとしてもその知識のぼんやりとした輪郭や位置づけが掴めるようになるだとか、小難しいことを回答することができると思うけれど、「夏休みが来るから」には勝てない。

小学生のときは 100 点を取るのは簡単だったのに、中学生になってから難しくなった。そうやって面白くなくなった勉強に無理やり価値を見出すとしたら、一年に一度、永遠のように思える「夏休みが来るから」。子どもの頃、夏休みに何をしていたのかはまるで思い出せないけれど、楽しいことで満ちていたような気がする。

あの夏の間にポケットへ詰め込んだそれは、もうしわくちゃで色褪せて思い出すことはできないけれど、ある種の眩しさがぼくを生かし続けている。年齢だけは大人になってしまった今では、永遠に続くような夏休みをとるのは難しいけれど、夏が来ると、夏休みが今年も来たなと思って、それだけで少し嬉しくなる。

そんなあの頃の夏休みを繰り返す Summer Pockets をプレイしながら、今年の夏は充実したものになればいいなと思った。とても面白かったです。

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