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仮想通貨の普及により全銀ネットは消えてなくなる?全銀ネットとは?

「全銀ネットは消えてなくなる」SBI ホールディングスの 2018 年 3 月期第 1 四半期、決算説明会において、SBI ホールディングスの北尾吉孝社長が発言した内容です(記事末尾に参考として挙げてあります)。

Ripple(リップル)社の仮想通貨 XRP が普及することでそうなるかも、という発言ですが、自分はそもそも「全銀ネット」という単語を耳にしたことがありませんでした(恐らく普通の高校生だったら授業で習うのかもしれませんが、高専に通っていたため、公民はありませんでした)。

**「全銀ネット」の正式名は「全国銀行資金決済ネットワーク」**といいます。1973 年に稼働した歴史のあるシステムで、日本国内の送金に関係しています。

この記事では、まずは、全銀ネットが必要ないパターンの送金を、その次に、全銀ネットが必要になるパターンの送金を見ていきます。

全銀ネットが必要ないパターン:口座が同じ銀行にある場合

A 銀行に口座を持つ太郎くんが、同じく A 銀行に口座を持つ花子さんに、送金することを考えてみます。

太郎くんが花子さんの口座に送金指示を出したとき、A 銀行のシステム内で、太郎くんの口座の数字を減らして、花子さんの口座の数字を増やす処理が行われます(これを付け替える、ともいいます)。

とてもシンプルで、どこにも疑問に思う余地がありません。次は、全銀ネットが必要になるパターンを見ていきます。

全銀ネットが必要なパターン:口座が異なる銀行にある場合

次に、A 銀行に口座を持つ太郎くんが、B 銀行に口座を持つ花子さんに、送金することを考えてみます。

A 銀行と B 銀行がシステム連携していれば、話が簡単ですが、そうはいきません。何故なら、銀行 A と B だけでなく、日本に存在する銀行の数だけ連携する必要があるため、現実的ではありません。

そこで全銀ネット(全国銀行資金決済ネットワーク)と、日本銀行が登場します。全銀ネットは、すべての銀行と日本銀行間を繋ぐシステム日本銀行は、日本にある金融機関のそれぞれの口座を持っています

では、実際の流れを見ていきましょう。

A 銀行に口座がある太郎くんが、B 銀行に口座がある花子さんに送金指示を出します。まずは、A 銀行から全銀ネットを通って、日本銀行に伝わり、日本銀行の中にある A 銀行の口座と、B 銀行の口座の数字を付け替えます。そして、日本銀行から全銀ネットを通って、B 銀行に伝わり、花子さんの口座の数字が増えます。

このように、日本銀行の中にある、それぞれの銀行の口座の数字を付け替えることで送金を実現しており、その結果を全銀ネット経由で伝えているシステムとなっています。

日本銀行と全銀ネットの中央集権的システムのデメリット

このように日本銀行と全銀ネットが中央集権的システムを担っています。一方、仮想通貨は分散型システムであり、日本銀行や全銀ネットに当たるようなものは存在しません。太郎くんは花子さんの口座(アドレス)にただ送金するだけです。

また、全銀ネットのサービス時間帯は平日 8 時 30 分~ 15 時 30 分となっており、仮想通貨がいつでも送金できるのに比べて、見劣りしますし、仮想通貨のほうが手数料が少なく済むのは登場人物の数からして明らかです。

もちろん、仮想通貨にも多くの問題点がありますが、現在の中央集権的システムのデメリットを少なくとも解決しています。このような理由からこれが仮想通貨が今後、普及していけば「全銀ネットが消えてなくなる」という意味だということです。

個人的には全銀ネットに当たるシステムはなくならず、将来的には Ripple 社が提供する新しい送金ネットワークのようなものが導入されるのでは、と思っています。

Ripple 社がどのように、歴史のある現在の送金システムを置き換えようとしているかは、別の記事で紹介できたらと思います。

参考